★8月17日(木)【第9日】
→ 人気 Ranking

<第1試合:広陵(広島)6-1秀岳館(熊本)


<第2試合:大阪桐蔭(大阪)2-1智弁和歌山(和歌山)

<第3試合:仙台育英(宮城)1-0日本文理(新潟)>


<第1試合:広陵(広島)6-1秀岳館(熊本)>
ドラフト1位候補の広陵・中村がとどめの3ランで快勝!秀岳館・鍛冶屋監督「最後の夏」終わる・・・
2017081701
↑9回表1死二、三塁、3点本塁打を放つ中村(広陵)。投手・田浦(秀岳館)
強肩強打の捕手として今秋のドラフト1位候補にあげられる広陵・中村が、評判通りの打撃を見せた。初回2死から左翼線二塁打を放つと、4回には鋭い打球の左前安打で出塁し、犠打、敵失、暴投で先制のホームを踏んだ。
最大の見せ場は9回だ。連続安打と犠打で作った1死二、三塁の好機に、秀岳館の2番手・田浦の初球を左翼席へライナーで突き刺した。1回戦の中京大中京戦(愛知)での2本に続く、今大会3本目の本塁打。満員の甲子園球場をどよめかせた。
2017081703
↑広陵・中村の3ランに呆然とする秀岳館ベンチ
「中村には甘い球を思い切っていけ、と言っていたが、たまたまうまくいった」と中井哲之監督(55)。投げてはエース左腕・平元が強打の秀岳館を8回までソロ本塁打による1点に抑えて、反撃を許さなかった。これで野村祐輔(現広島)―小林誠司(現巨人)のバッテリーで準優勝した2007年以来の3回戦進出。当時にも負けない強力なバッテリーを擁して、悲願の選手権初制覇を目指す。
2017081702
↑広陵に敗れ、ベンチに戻る選手を見守る秀岳館の鍛治舎監督
16年春から3季連続で4強入りしていた秀学館(熊本)は2回戦で散った。今大会限りでの退任を表明していた鍛治舎巧監督(66)は最後の指揮を終え、「3年間は幸せだった。甲子園は夢のような時間、夢のような場所だった。20数年解説をやってきて、ずっとグラウンドに立ちたかった。4回甲子園に出て、頑張ったら頑張っただけの成果が出る」と感慨深げに振り返った。
2017081704
↑力投する秀岳館先発の川端

社会人野球監督やNHKでの解説者などを経て、14年4月に就任。熊本に来た直後は「『大阪に帰れ』という怒号の方が多かった」と振り返るが、16年春に甲子園に出場すると3季連続で4強入りを果たし、「今では『おめでとう』『頑張って』と声をかけてもらえる」と3年間の成果を実感した。
2017081705
↑泣きじゃくる選手とともに引き揚げる秀岳館・鍛治舎監督
今後については「後任はいるので心配はない」と話し、自身については「(秀学館監督を)辞めるのは決まっているが、(進路は)何も決まっていない」と白紙を強調。夢の日本一には届かなかったものの、「そこは残念だった。でも選手はよくやった」とねぎらった。
<第2試合:大阪桐蔭(大阪)2-1智弁和歌山(和歌山)
大阪桐蔭が智弁和歌山との接戦制し16強!春夏連覇へまた一歩前進!
2017081707
↑7回裏2死三塁、平田(右)の暴投で大阪桐蔭の三走・泉口が勝ち越しの生還
第2試合は選抜王者の大阪桐蔭(大阪)が智弁和歌山(和歌山)との接戦を2―1で制し、16強入り。史上初となる2度目の春夏連覇に、また一歩近づいた。
2017081708
↑1回、先制の右前適時打を放つ大阪桐蔭・根尾
大阪桐蔭は初回2死三塁、この試合から4番に抜てきされた根尾(2年)の中前適時打で先制。4回に同点とされたが、7回2死三塁から相手投手の暴投で勝ち越した。先発の徳山は1失点完投。要所を締めた投球で1点のリードを守り、勝利を引き寄せた。
智弁和歌山は12安打1得点と好機を生かせず、本塁が遠かった。先発左腕の黒原は5回1/3を投げ6安打1失点。2番手・平田の失投に泣いた。6年ぶり3回戦進出はならなかった。
2017081711
↑3回智弁和歌山2死二塁、大阪桐蔭・山本の好返球で失点を防ぎ、大阪桐蔭・西谷監督もこのポーズ
“強打の智弁”が春の王者を最後まで追いつめた。1点を追う9回。1死一、二塁とチャンスを広げ一打同点、逆転の場面を作ったが代打・大崎が遊ゴロ併殺に倒れた。大阪桐蔭の7本を上回る12安打を放ちながら1得点と拙攻が目立った打線に、高嶋仁監督(71)は「こういう、ええゲームは勝たないといかん。負けたらええゲームじゃないから」と唇をかんだ。それでも圧倒的な戦力を誇るセンバツ覇者と互角の戦いを見せたナインに、球場から大きな拍手が送られた。
2017081710
↑大阪桐蔭の前に惜敗し甲子園を去る智弁和歌山(右は高嶋監督)
春夏3度の全国制覇を誇る強豪・智弁和歌山を指揮し、自身も春夏通算64勝の名将は「(監督を)やめれんでしょう。王者やから(大阪桐蔭を)叩かんと智弁の名が廃る。今度は叩きますよ。(来年も)センバツ、夏と出場しないといかんなと思います」とリベンジを誓い、来年を見据えていた。

<第3試合:仙台育英(宮城)1-0日本文理(新潟)>
仙台育英ファインプレー続出で守り切る!日本文理・大井監督32年の監督生活に幕・・・
2017081712
↑6回表日本文理2死二塁、中堅手佐川は松木の飛球を好捕
仙台育英が投手戦を制し、準優勝した15年以来、2年ぶりに3回戦に進んだ。長谷川拓帆投手(3年)が7安打完封。140キロ前後の直球と縦のスライダーを制球よく配し、109球で投げきった。
 9回2死一、三塁のピンチも、直球勝負で空振り三振を奪って試合終了。しびれる1-0完封勝利で初戦から15回連続無失点としたエースは「最後のピンチも『高校野球でもう味わうことは少ない』と楽しむことができた。ゼロで抑えられたのは、みんなが守ってくれたおかげ」と会心の笑みを浮かべた。
今大会で勇退する日本文理(新潟)・大井道夫監督(75)の夏が終わった。32年の監督生活を締めくくる試合は0-1の惜敗。「意外な展開だったね」と、笑顔交じりに振り返った。
2017081713
↑仙台育英に負け甲子園を後にする日本文理・大井道夫監督
試合前に描いていたのは「5点勝負。6点取って勝つ」。だが、1回戦で16安打を放った打線が仙台育英の左腕・長谷川拓帆投手(3年)の前に7安打で無得点。一方、先発の稲垣豪人投手(3年)が6安打1失点で公式戦初完投。「まさかこういう試合になるとは。長谷川君がいい球を投げていた。でも、うちの稲垣もベストピッチングだよ」。相手エースと、自チームの大黒柱をたたえた。そして「子どもたちはよく頑張った。いい試合だった」。強敵相手に接戦を演じたナインを褒めた。
2017081703
86年から新興校の日本文理を率いた。当初は部員が集まらない状態だったが、09年に夏の甲子園準優勝、04年に同ベスト4と全国に知られる存在に育て上げた。笠原遥也主将(3年)は言う。「1日でも、1秒でも長く監督と野球がしたかった」。孫ほども年が離れたナインの熱い思いに支えられて臨んだ最後の甲子園。「私は本当に幸せ者です」と笑顔で後にした。